中古車売却のトラブルについて~国民生活センターホームページの中古自動車売却関連情報
国民生活センターPIO-NETに寄せられた相談件数の推移
【事例7】車の価値を見るために査定サイトを利用したら・・・
インターネットで、無料で自動車を査定するサイトがあったので、現状の車の評価をしてもらうため
に依頼したら、多数の業者から買い取りの勧誘電話がかかってきて困っている。後日サイトの詳細を
見たら、6 社に対して同時に査定依頼する仕組みになっており、依頼した以外の業者から電話がかか
って来る場合があるとの記載があった。文字が小さく、目につきにくいので気がつかなかった。こん
なに勧誘の電話があることがわかっていたら査定は依頼しなかった。
(2011 年 10 月受付 40 歳代 男性 給与生活者 大阪府)
※参考元:国民生活センターの「増加する自動車の売却システム」より
国民生活センターホームページの中古自動車売却関連情報
3カ月近くたって契約解除を申し入れてきた中古車買取専門店
[2006年5月19日:掲載]
車を買い替える際、下取りに出さず、中古車買取専門店(以下、買取店)へ売却するケースが増えてきた。本件は、買取店へ中古車を売却した後、3カ月近く経過してから、買取店が契約条項に基づき、契約解除を申し入れてきたことでトラブルとなった事例である。
相談内容
2年前から所有する30年近く前に製造された国産スポーツカーを買取店に見せたところ、「ぜひ欲しいというお客がいる。買い取らせてほしい」と頼まれた。この車はエンジンを載せ替えていると査定士に伝えた。査定の結果、約75万円で買い取るとのことだったので、この車の価値が分かり、大切にしてくれる人の手に渡るのならと思い、売却を決めた。
その後3カ月近くたって、買取店本部の債権回収部門の担当者(以下、担当者)から、「オークションにかけたところ、走行距離数に問題があった。契約を解除したい」と電話が入った。走行メーターを自分で改ざんした覚えなどはない。プロの査定士が厳正に査定したうえで提示した買取金額ではなかったのか。売却代金は新しい車を購入した際使ってしまい、今さら契約解除と言われても困るし、納得できない。
(40歳代 男性 自営業)
処理概要
本件は、自治体の消費者相談窓口(以下、相談窓口)と国民生活センター(以下、国セン)が共同して相談処理を行った事案である。
(1)「相談窓口」によるあっせん
売買契約書を見ると、契約日が空欄のままになっていたため、契約に至った経緯を双方に尋ねたところ、契約書が交付されたのは、買取金額が合意に至った日ではなく、車の引き渡しが行われた日の後であり、契約条項についても、説明がなされていないことが分かった。
また、契約条項の「契約解除」に関する部分を確認すると、「走行距離、修復歴、災害車等契約書表面記載の『車両の状況』欄記載事項と契約車両の間に相違があることが判明した場合、買主(買取店)は直ちに契約を解除できる」となっていた。
担当者は、「契約車両に瑕疵があったので、売り主は瑕疵担保責任を負う義務がある。契約条項どおりとしたい。ただし、返金が不可能であれば、走行距離不明車として再度オークションに出品して売却し、落札額(手数料別途)と買取額との差額を負担してもらってもよい」と主張した。
これに対して相談窓口は、「事後に契約解除になることがあるという重要な契約条項について、契約締結時に説明しなかったことがトラブルの原因である。説明していない契約条項を一方的に押し付けるようなトラブル処理の進め方も問題である」と伝えたが、話は前に進まなかった。
その後買取店側は、この車を再度オークションに出品し売却、約30万円の差額が生じたとして、支払いを求めてきた。このため相談窓口は、国センに相談処理の支援を依頼した。
(2)「国セン」によるあっせん
国センは買取店に対し、「約30年前に製造され、エンジンを載せ替えている車の走行距離数が5万キロに満たないということは、メーターが正常な距離数を示していないと疑いを持つのが自然かと思うが、正常な距離数であると判断した根拠は何か」と尋ねた。
担当者は、「『走行メーター管理システム』(注)を用いて調査した。当方に過失はない。当方は距離数が不明なことを知らないで契約したものであり、錯誤による無効も主張可能」と返答した。
これに対して国センは、「『管理システム』は、全オークション会場の出品記録等が蓄積されているわけではなく、これを用いて調査すれば完璧というものではないはずである。錯誤無効の主張についても、相談者が走行距離不明車ではないと説明したとは聞いていない」と主張した。また、「あたかも転売先のお客がすでにいるようなことを説明しておきながら、オークションに出品しているが、事実関係はどうなのか。契約条項も説明しておらず、営業手法として問題ではないか」と尋ねた。
担当者は、「責任の一部があることは認めるが、当方に請求権があることは認めてほしい。請求額については、減額の余地がある」とのことだった。
一方、相談者に対しては、「このまま請求に一切応じなかった場合、買取店側が法的措置を取ることもあり得るが、その場合は、裁判で主張すべきことは主張し、裁判所の判断に委ねる方法もある」と助言した。相談者は裁判までは考えないとのことだったので、「担当者から請求額の減額の話が出れば、譲歩するのも、選択肢の一つである」と話したところ、相談者は請求の一部なら支払いに応じるとのことだった。
あっせんを続けた結果、最終的に請求額の5割に当たる金額を相談者が支払うことで合意となった。
注 オークション会場に出品された中古車の走行距離の情報を蓄積し、データベース化したもの。
問題点
買取店側は、最初から債権を有しているという前提で、債権回収部門の担当者を交渉の窓口役としてきた。途中国センは、顧客対応部門の担当者を窓口役とするよう求めたが、拒まれた。なぜ顧客とトラブルになったのかという点について、顧客の立場から考えてみることが大事だが、社内体制として、この点の整備が十分とはいえないようだ。
また、「売り主の瑕疵担保責任」「錯誤無効」との主張があったが、買い主が営業の目的で査定する以上、消費者が買い主である場合に比べ、より高度な注意義務が課せられるはずである。特に本件の中古車は、年式が極めて古く、希少性・趣味性が高いなど特殊な条件の車といえ、事後のトラブルを避けるためには、より丁寧に調べ、買取額を提示すべきだった。
中古車の売却の際のキャンセル料のトラブルについて
(国民生活センター消費者苦情処理専門委員会小委員会助言)
[2005年8月5日:公表]
消費者苦情処理専門委員会への諮問
国民生活センターでは、消費者苦情処理業務を適正かつ効果的に遂行するため、消費者苦情処理専門委員会を設置している。
国民生活センター理事長は平成17年3月14日付で「中古車の売却の際のキャンセル料のトラブルについて」の苦情処理案の検討を同委員会に諮問し、同委員会に設けた小委員会より平成17年7月20日付の助言があった。
助言の主旨
- (1) 苦情の概要
- 中古車を25万円で買い取り会社に売却する契約をしたが、家族で話し合って売却しないことにした。契約から3日後、解約を申し出たところ、キャンセル料として10万円を請求された。約款にキャンセル料が明記されており、売り主が解約を申し出た場合、売買代金100万円以下の場合は一律10万円のキャンセル料とのことだが、契約時にそのような説明は受けていなかった。10万円のキャンセル料は高額なので、支払いたくない。
- (2) 小委員会の結論
- 自動車買い取り会社の「売買代金100万円以下の場合は、一律10万円のキャンセル料」といった契約約款の条項が、消費者契約法第9条1号が無効と規定する不当条項に当たるかについて検討した結論は次のとおりである。平均的損害については、消費者が解約を申し出た時期により、自動車買い取り会社が単に買い取り契約の書面を交わした段階、オークションに出品を予約した段階、オークション会場に車両の陸送が済んだ段階、落札者が現れた段階など、買い取り契約締結後の当該事業者の事務処理状況の各段階によって、平均的損害額は異なるものといえ、単に買い取り契約の書面を交わしただけの処理段階では、平均的損害は発生していないものと考えられる。したがって、消費者が解約を申し入れた場合には、事業者は上記の各段階の当該事業者としての平均的な損害を立証した場合に、賠償を受けることができ、これを超える賠償金は解約料、キャンセル料といった名目であっても、消費者からは受領することはできないものというべきである。不当条項に当たるか否かは、当該事業者により立証された平均的損害によらずに、一律にキャンセル料を定め、平均的損害を考慮せずにこの条項を適用するというのであれば、不当条項に当たるというべきである。相談処理に当たっては、一律のキャンセル料を容認することなく、上記の各段階ごとに当該事業者に発生する平均的損害を考慮し、支払う必要があるキャンセル料の額について、相談者に助言を行うことになろう。
- (3) 理由(法的考察)
- 1) 消費者契約法第9条1号の「解除」に当たるか
- 2) 消費者契約法の「平均的損害」の意義
- 3) 消費者契約法の「平均的損害」の証明責任
- について考察
中古車取引にかかわるトラブル
-その対処法と未然防止のために-
[2013年11月5日:更新]
[2004年8月4日:公表]
実施した理由
中古車は商品自体が千差万別で、価格も品質も一台ごとに異なり、新車とはまるで違う商品特性を持っている。それだけに消費者にとって商品の品質・機能の良しあしを判断することが難しく、購入後のトラブルに結びつきやすい。消費生活センター等に寄せられた中古車に関するトラブルの相談件数は、2003年度に5,582件と決して少なくないばかりか、自動車に関する相談件数全体に占める割合もほぼ5割とその比率が高いのも特徴的である。
そこで、当センターに寄せられた相談事例を分析し、代表的な事例を紹介するとともに、消費者に対してトラブルへの対処法、トラブルに巻き込まれないためのアドバイスを試みた。また、中古車販売業者に対しても、顧客とトラブルが発生した際の対応の向上や、トラブルが発生しないための方策について更なる取り組みを促す目的で、情報提供を行うことにした。
結果・現状
(1)現状渡し(保証なし)の条件で販売された中古車に不具合が発生した場合で、瑕疵担保責任が追及できるケースにおいても、対応を拒む販売業者が見られる。
(2)走行メーターのキロ数を改ざんしたり、改ざんされたことを知りつつ販売する業者が見られる。また、改ざんされていることを知らないで販売するケースも見られるが、いずれの場合も販売上の責任は免れないにもかかわらず、責任を回避し、顧客とトラブルになることが多い。
(3)修復歴がある中古車であるにもかかわらず、それを表示せずに販売し、顧客とトラブルになることが多い。
(4)業界約款で定める「契約の成立時期」に関して、消費者、販売業者双方に認識不足があり、キャンセルにかかわるトラブルが発生している。また、アウトサイダー業者の中には、根拠に乏しい高額なキャンセル料を請求するケースも見られる。
(5)インターネットオークションや販売店の倒産に関するトラブル、中古車買い取り業者への売却時のトラブル、いわゆる「新古車」に関するトラブルなども発生している。
問題点
20歳代、30歳代と比較的若い世代からの相談が多いが、消費者側が高額で品質・機能の良しあしを判断することが難しい商品を購入するための事前準備が不足していたり、契約の当事者としての心構えが十分でないケースも見られる。
一方、販売業者側は、顧客対応(トラブル発生時の対応、トラブルの未然防止の取り組み)の水準が低い業者も少なからず見られる。また、未だに不当表示等の不正販売を行っている業者も存在し、業界全体のコンプライアンス経営の進展が望まれる。
消費者へのアドバイス
(1)事前の下調べに全力を尽くし、あせって契約しない。
(2)契約の当事者としてその責任の重さを自覚する。
(3)トラブルとなったら早めに消費生活センターに相談する。
中古車販売業者へ期待すること
(1)アウトサイダー業者の自動車公正競争規約への参加を望む。
(2)業界団体は、会員企業等が消費者トラブルの未然防止対策を講じるよう、いっそうの指導に努めてほしい。
情報提供先
- ・(社)日本中古自動車販売協会連合会
- ・(社)日本自動車販売協会連合会
- ・日本自動車輸入組合
- ・(社)自動車公正取引協議会
電話相談窓口
中古車買取トラブルセンター(一般社団法人 日本自動車流通研究所)
0120−93−4595 *査定サイトのキャンセル・登録情報削除の依頼はできません。
国民生活センター
国民生活センターは消費生活に影響する問題の調査や研究、クレーム処理、商品テストを行う独立行政法人です。全国の消費者センターなどと連携し、消費者トラブルの未然防止や拡大防止を行っています。
車売却に関するトラブル相談も国民生活センターでは多く寄せられています。
国民生活センターでは平日11時から13時まで受け付けている相談窓口と、土日祝日に相談できる窓口の電話番号が掲載されています。
また、お住まいの消費生活センターの住所や電話番号、相談時間なども調べることが可能です。
JPUC車売却消費者相談室
中古車買取業者のガイドライン制定やWEB広告表現のガイドライン制定などの活動で、中古車買取を健全にするために設立されたのがJPUC車売却消費者相談室です。中古買取に詳しい相談員を配置しており、業者とのやり取りに上で発生した悩みのアドバイスをくれます。
窓口は電話対応のみで受け付けており、一括査定のキャンセルや情報削除依頼は対応できないので注意しましょう。